「情報社会と科学」(2007.11.19実施)での質問・感想等にたいするコメント
すべてに対してコメントできているわけではありません。ご了承下さい。
※質問文については、こちらで要約・改変してありますので、原文のとおりで
はありません。
- 「気」というものは存在するのか。この前不思議な体験をした。左手の親
指とひとさし指を離れないよう強くくっつけているように言われ、右手にたぼ
こを一本持たされ、その人は何かの気を込め、私の左手の親指とひとさし指を
簡単に離した。私はかなり強く力を入れていたので驚いたが、その人が言うに
は、私にはたばこは合わなくて、体に害をすごく及ぼすのだと言う。このよう
に何らかの体験で不思議な感覚を味わうと、信じてしまう。
- おそらく、O-リング(オー・リング)テストと呼ばれるものだと思います。
私自身詳細に調べたことがないので判断は留保しますが、
あまり根拠があるようには感じられません。
むしろ、「波動」などと同梱のように思います。
- 例えば、O-リングをすすめている団体として、
「日本バイ・ディジタルO-リングテスト医学会」があります。
ここのウェブページの「概要」を読むと、「2つの同一物質間における共鳴現
象の発見」など、「いかにも」な言葉が入っていたりします。
- http://bdort.net/as/gaiyou.htm (リンクははらないので打ち込んでくだ
さい)
- 本当は、O-リングを作る人も、指を開こうとする人も、右手に何を載せて
いるかわからない状態で色々と試さないといけないと思います(二重盲検法)。
つまり、「たばこ」といういかにも体に悪そうな、ということがわかっている
ものを目にすると、知らず知らずのうちに指の力を弱めてしまうのではないか、
という可能性が考えられます。実際のところどこまで検証されているかは(私
には)わかりません。調べてみてください。
- 霊とか幽霊はどうなんですか?
- 写真に移るようなものなら、電磁波(光)と相互作用する(発光したり反射
したりする)わけですから(そうでないとデジカメの素子に反応しな
い、フィルムに感光しない)、物理的実体ということになります。
そして、もし「それ」が壁をすり抜けたりするようなものなら、内
部はスカスカ。つまり、人間の脳のように精神を生み出すような高
度な活動ができるとは思えない。なので、妄想だと(私は)思います。
- 伝統仏教などでも、いわゆる「霊」は否定しているようです。通俗的な意
味での霊とはだいぶ違うようです。
- 「幽霊の 正体見たり 枯尾花」というくらいですから、少なくとも大半は
妄想でしょう。見た本人は本気で見たと思うでしょうし、主観
的には「見た」のでしょうが、それは実在とは別の話ですね。
- 家の水は赤っぽいのが最初流れてだんだん透明になる
- 水道管のサビではないか、と思いますが…。
古い集合住宅ではよくあります。
- 自分が育った環境によって文化は身につくものなので、DNAは関係ない
と思います。関係あるのでしょうか?
- ないです。少し話がズレますが、昔、政治を巻き込んだニセ科学で「ルイ
センコ事件」というのがありました。「後天的に獲得した性質は遺伝する」と
いう主張です。文化がDNAに反映されるというのと似ていますね。
- もちろん、江本がどういうつもりでDNAという言葉を使ったかわかりませ
ん。単に比喩で言ったのかもしれませんが、この文脈ではちょっと安易な使い
方ですよね。
- 人間が想像することは現実として十分起こることであると思う。
- 必ずしもそうではないです。たとえば、我々人間は、そのままでは空を飛
ぶことはできません。なんらかの機械が必要です。ところが、誰しも一度は空
を飛ぶ想像をしますよね。なので、想像がそのまま現実になるということには
ならない。
- しかし、人間は、様々な発見をし、発明をすることで、その願望を満たし
てきました。気球や飛行機のように。その意味で、現実として起こるわけです。
- 現実とは無関係なことも想像できてしまうところが、人間の精神の偉大な
ところだと私は重っています。
- 太陽系のある銀河を隅々まで見ることができると思いますか?
- 我々の属する銀河系(天の川銀河)は、差渡しおよそ10万光年。それを遠い
と見るか近いと見るかですが、何億光年も離れた別の銀河も観測されています
から、その意味では近い。しかし、個々の星の惑星を直接見分けられる程度に
は近くない。その意味では遠い。しかし、技術は着実に進歩しています。だい
ぶ先の話になると思いますが、いずれ銀河系内の地球のような惑星のリストが
作られる日もくるでしょうね。
- そこまでいかなくても、もっと近いところにも星は沢山あります。地球型
惑星を捜すこころみも始まっています。近い将来、生命の存在する星が本当に
見つかるかもしれません。宇宙人が見つかったらと思うとワクワクしますね。
もっとも、世界中どこでも宇宙人の存在を受け入れられる文化があるかという
と、結構微妙な気がします。実際に宇宙人が見つかったとなったら、世の中は
どうなるでしょうかね。あまり楽観ばかりはしていられないかもしれません。
難しいところです。
- アボロの月着陸は嘘だったんでしょうか?
- 嘘ではありません。本当です。当時の技術は今と比べるととても貧弱な
ものでした。しかし、莫大な予算が注ぎこまれ、膨大な人々がプロ
ジェクトに携わっていました。月に行くには金がかかります。
- しばらく前に、アメリカのブッシュ大統領は、人類を火星に送り込むとぶ
ち上げました。技術的には(おそらく)可能だと思います(宇宙での長期滞在が
人間にどう影響するかなどの研究も進んでいますし)。しかし、とにかくお金
がかかる。実際、ブッシュの発言以降、他の科学計画で予算が削られたものも
あるようです。それくらいお金がかかるので、行かないのです。
- 「月の雑学 第3話 人類は月に行っていない!?」に詳しい説明があります。
- http://moon.jaxa.jp/ja/popular/story03/index.html
- 昔、自分の実家でもEMを使って生ゴミ処理をやっていた。"良いことを
やっている"という快感がゴミ処理を楽しい作業にしたのは事実だ
が、その科学的根拠を私は知らなかった。そして、実行することに
満足し、意義や本質(=結果)を求めていなかった。
- 重要な指摘だと思います。普通の市民にはなかなかわからないことだと思
います。それだけに、専門家がおかしいことにはおかしいと言い、商売にする
場合はきちんとチェックを受けたものを販売するようにしないと(薬のように)
いけないのだと思います。
- 江本さんの様な人が活動できるこの社会はとても平和ですね。
- そうですね。誰でも、どんなトンデモなことでも自由に発言できるこの社
会を維持したいものです。そのためには、彼が言っているようなことは批判し
ないといけません。言論には言論で対抗する。法で規制するようになったら、
恐ろしい社会になっていまします。戦前に逆戻り。昔のドイツでワイマール憲
法のもとでヒトラーが出現したという歴史も忘れてはならないのだろうと重っ
ています。
- スプーン曲げがあんなに簡単にできると知ってビックリしました。
- やる前から「自分にはできない」と思い込んでいることって、実はいっぱ
いある気がします。自分の可能性を自分で狭めているわけです。自戒したいものですね。
- UFO・宇宙人と同じように、ヨーロッパでの魔女狩りも同じような側面
を持っていると考えられる。ペストの流行や相次ぐ戦争などによっ
て社会的不安が高まり、多くの人が「魔女」の存在を信じる要因の
一つとなった。
- なるほど、そうかもしれませんね。中世の魔女についてはあまり深く考え
たことはありませんでしたが、面白い観点です。どうもありがとう。
- 個人的にはUFOや宇宙人、SF的な内容のニセ科学は、夢があってわくわ
くするし、心の中ではないなと思うけれど、現実離れしすぎていて、信じてみ
たいし、誰かに研究は続けてもらいたいです。
- たしかに面白いのですよね、こういうのは。なので、私も昔からこの手の
本など漁っているわけです。
- 現実でないからダメ、というわけではない。まさにSFはその典型で、現実
とは違う世界を描いていて、それが面白いわけです。また、現実と違う世界を
描くからこそ、逆に現実世界がよく見える、ということもある。
- 世の中には明らかに間違った研究というものもあるので(「永久機関」な
ど)、なんでもかんでも研究すればいいとは思いませんが、まっとうなアプロー
チならばやって欲しいと私も思います。たとえば宇宙人捜しというのは現実に
行なわれています。SETI計画と呼ばれています。これは宇宙からやってくる電
波を解析して、地球外文明を捜そうというものですが、立派な科学的研究です。
こういうのは重要ですね。
- ゼミでのプレゼン練習で毎回ネタに困るのですが、どうやって授業のネタ
を捜しているのか知りたいです。
- 人によって違うと思いますが、基本は幅広い興味を持つこと、でしょう。
新聞でもなんでも、自分のアンテナをひろげ、常日頃から情報蒐集しておくこ
とです。問題意識を持つ、ということですね。もちろん、集めた情報の大半は
遣われないままですが、何かの時(発表とか授業とか)に、そうやって集めた情
報を手がかりにして調べていくことができます。
- それから私の場合は古本屋巡りが好きなので、
この手のコーナー(超常現象とか)はよく見ます。
面白そうだったり安かったりしたら買っておいてます。
そうやって普段から蓄積しておくわけです。
- 私の学生時代は「10調べて1話せ」とよく言われました。つまり、話した
いことの10倍は調べておけ、ということです。なかなか大変だと思うし始めは
難しいと思いますが、がんばってください。
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Last modified: Fri Nov 23 17:58:37 JST 2007