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湿潤断熱減率

湿った空気塊を断熱的に上昇させる

→断熱膨張で温度下がる

→余分な水蒸気は凝結又は昇華

→潜熱を放出

→空気塊を暖める

⇒不飽和空気塊よりも温度低下しにくい

飽和した空気→湿潤断熱減率


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※湿潤断熱減率の導出

での飽和混合比は

(3.47)

次に での飽和混合比を、での飽和混合比 とそこからのズレの和で表すと、温度がの時の 飽和水蒸気圧をとして(は温度$T$の時の飽和水蒸気圧)、
$\textstyle =$  
  $\textstyle =$  
  $\textstyle \simeq$  
  $\textstyle \simeq$ (3.48)

となる。ここで、 の Taylor 展開を 用い、2次以降の微小量は無視した。

これより、

(3.49)

となるが、は$T$だけの関数であるから、それを明示的に表して
(3.50)

と書いておく。

さて、凝結によって解放される潜熱を求めると、単位質量当たりの潜 熱をとすれば、単位質量の空気塊当たりに解放される潜熱は

(3.51)

となる。ここで、上昇しながら冷える空気を考えれば、凝結によって水蒸気が析 出するため混合比は減少していくので、は負である。が減少 する時に正の潜熱を解放するので負の符号がつく。

一方、この潜熱がすべて乾燥空気の温度上昇に使われると近似すると(即ち、水 滴や水蒸気は微量なので、それらを暖めるのに使われるエネルギーは無視する)、 熱力学第一法則より、

(3.52)

これらを等しいとおくと、
(3.53)

これを、静水圧平衡の式 を用いて整理すると、
(3.54)

となる。ここで乾燥断熱減率 を使った。


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NAGASHIMA Masahiro 2010綛弥生 16日