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終わりに

銀河形成は宇宙に於ける構造形成を基礎に展開した理論が観測と直接比較可能な 時代に入った。基礎となる大構造形成の理論は、基本的な枠組は既に完成し、業 界のトレンドという意味ではもはや「終わった」分野であり、後は細かい問題し か残されていない(少なくとも理論的には)。しかし、銀河や銀河団形成を議論す る際には大構造形成の理論は踏まえておく必要があるため、基本的な知識は身に つけておかなく必要はある。無論、大構造を観測的に検証することは当面は重要 である。

今日は、銀河形成に直接関わる基礎的な部分として、主に recombination ( $z\simeq 10^{3}$)以降での密度揺らぎの成長を調べた。また揺らぎの統計的な 性質についても調べた。それらをもとに、銀河形成はどのように考えられるべき かについて述べた。銀河形成の物理に関してはまだわかっていないことが多いが、 まづ現状のモデルの範囲で観測と丹念に比較を重ね、矛盾点を洗い出す作業が必 要である。それと共に、パラメータでしか扱えていない、星形成やフィードバッ ク等の物理についての理解も進めていくことが、今後重要になってくるであろう。

教科書

池内了「観測的宇宙論」、東京大学出版会
岡村定矩「銀河系と銀河宇宙」、東京大学出版会
小玉英雄「相対論的宇宙論」、丸善
冨田憲二「一般相対論的宇宙論」、裳華房
須藤靖「ダークマターと銀河宇宙」、丸善
Peebles, P.J.E., ``Large-scale Structure of the Universe'', Princeton Univ. Press
Peebles, P.J.E., ``Principles of Physical Cosmology'', Princeton Univ. Press
Padmanabhan, T., ``Structure formation in the Universe'', Cambridge Univ. Press
Peacock, J.A., ``Cosmological Physics'', Cambridge Univ. Press
Lucchin, Coles, P., ''Cosmology'',



NAGASHIMA Masahiro
2009-03-12