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原理

気圧が支えることのできる水銀の量を測ることにより、その気圧を求めることが できる。気圧を$P$, ガラス管内の水銀の高さを$h$, 水銀の質量密度を $\rho$、重力加速度を$g$とする。ガラス管内の水銀より上は真空であるため圧 力はゼロであるため、圧力差は$P-0=P$である。管の太さを便宜上$S$とすると、 水銀を押し上げる力は$PS$となる。一方、高さ$h$の水銀柱の質量$M$$M=\rho
hS$であるので、この水銀柱にかかる重力は$Mg=\rho g hS$となる。この二つの力が 釣合うので、$PS=\rho g hS$, すなわち
\begin{displaymath}
P=\rho g h
\end{displaymath} (1)

となることがわかる。水銀の密度 $\rho(=13.5951\times 10^{3}{\rm kg 
m^{-3}})$, 重力加速度$g$は既知であるので、$h$ がわかれば$P$がわかること になる。

実際の測定では、器具自体に含まれている誤差、温度による水銀や器具の膨張、 場所による重力加速度の違い、高さによる気圧の変動などを考慮し、標準重力加 速度のもとで、海面で温度$0^{\circ}$Cの水銀が示す値に補正することになる。 なおこれら補正については、「一般気象学」(小倉義光)に詳しい[1]。



NAGASHIMA Masahiro
平成20年5月17日

since 24 April 2003