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河村市長、南京発言撤回せず 「真意伝わらず遺憾」

2012年2月28日03時00分(『朝日』)

河村たかし名古屋市長は27日の定例会見で、南京事件を否定した自らの発言について「30万人もの非武装の中国市民を日本軍が大虐殺したことはないと思っており、『南京事件はなかったのではないか』と申し上げたことは撤回しない」と述べ、発言を撤回しない考えを改めて示した。

 河村氏は会見の冒頭、「いわゆる南京事件を巡る一連の報道について」と題したA4判の2枚紙を読み上げた。旧日本軍による組織的な虐殺を否定する従来の持論を繰り返した上で、「相互理解を深めるために南京市側と意見交換したいという真意が伝わらなかったとすれば遺憾に思う」などと釈明した。

 この日の会見には国内の新聞や週刊誌のほか、中国から香港の衛星放送フェニックステレビも参加した。虐殺の有無を問う質問に、河村氏は「虐殺という言葉の定義の問題になってくる。ぜひ(南京市と)率直に話し合いたい」と強調。フェニックステレビの記者が「(南京市の)使節団に対して不適切な発言だったのではないか」と質問すると、「(面会の際は)終始友好的に話が進んでおり、(先方にとって)違和感のある発言ではなかったと思う」と訴えた。

 河村氏は先週末、この日の会見で自らの発言に言及する姿勢を示していたことから、発言内容が注目された。ただ、石原慎太郎東京都知事が24日の会見で「正しい。彼を弁護したい」などと擁護したこともあり、河村氏の周辺は「石原氏の発言も受けて、以前よりも強硬な姿勢になっている」と話している。

 河村氏は20日、名古屋市役所を表敬訪問した中国・南京市共産党委員会幹部らに、「南京事件というのはなかったのではないか」などと語った。中国側は訪問終了後から発言に強く反発し、愛知県の経済界からは「中国との新規取引に影響が出る」といった懸念の声が出ている。

(下線は引用者)