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領域
が collapse するとして、この領域の持つ角運動量がどうなるかを
調べよう[15,6,3,4,11]。角運動量
は、定義により
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(3.104) |
ここで質量保存
、
、
を使うと
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(3.105) |
となる。Zel'dovich 近似を用いると、
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(3.106) |
である。ここで
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(3.107) |
である。これより領域の非球対称性が重要であることがわかる。
次に、potential
を
のまわりに展開する。
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(3.108) |
これを式(3.78)に代入すると、
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(3.109) |
となる。
は完全反対称テンソルである。ここで potential の
微分の項を
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(3.110) |
inertial tensor を
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(3.111) |
とすると
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(3.112) |
となり、時間に依存する項を見ると、E-dS宇宙では
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(3.113) |
と時間の一次に比例して増大することになる。実際には、maximum expansion の
あたりで角運動量の獲得は止まり、あとは保存して collapse することになる。
つまり
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(3.114) |
となるところまで成長する。
inertia tensor を見ると、次元的に
であり、上の式と合
わせて、これは
に比例する。こ
れより、maximum expansion での、即ち最終的にハローが獲得する角運動量は
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(3.115) |
となる。
通常、角運動量を議論する際は、無次元の spin parameter
を用いる。
これは、
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(3.116) |
で定義される。角運動量が0なら0、完全に rotation support になっていれば
となる。図5に、Catelan & Theuns による
の分布を示す。詳細は略すが、これは初期に Gauss 分布する揺らぎの
場を考え、揺らぎのピークになる点のまわりの角運動量の分布がどうなるかを計
算したものである。パラメータになっている
は揺らぎの高さの尺度で、揺
らぎの偏差を
の何倍かを示す(
)。
が大きいほ
ど早く collapse するので、それだけ獲得する角運動量も小さいということにな
る。
いづれの
にしても、
がほとんどを占めている。つまり、
ダークハローはほとんど回転していないということを示している。ただし、これ
が銀河になる際には内部のガスがエネルギーを失って収縮するため、結果的には
となる。
この分布は、いわゆる log-normal分布で良く fit される。
![\begin{displaymath}
p(\lambda)d\lambda=
\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma_{\lambda}}
\...
...n\bar{\lambda})^2}
{2\sigma_{\lambda}^{2}}\right] d\ln\lambda,
\end{displaymath}](img292.png) |
(3.117) |
ここで
は平均の
、
は
の分散である。大体
、
となる。
Figure 5:
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NAGASHIMA Masahiro
2009-03-12