Next: より現実的な質量関数
Up: 密度揺らぎの統計的性質
Previous: 二体相関関数
ここでは球対称解と揺らぎの Gaussian 分布から、質量
の天体の個数密度
を見積る Press-Schechter 近似を紹介する[14]。
さて、smoothing scale
で
を越える質量(領域)は、
より
も大きい天体として collapse するはずである。なぜならば、
となる
より大きいスケールで smoothing を行えば、丁度
となるスケー
ルが存在するはずだからである。従って、スケール
の場で
を越
える領域は、質量
より大きい天体として collapse する領域内にある、
で smoothing した時に
を越える領域の和に等しい。
この「
でsmoothingした時に
を越える確率(あるいは全宇宙にお
いて
を越える領域にある質量の割合)」を
と置
くと、解くべき方程式は
 |
(4.143) |
となる。ここで、
は、
field で丁度
となる点で、
field では
を越える確率、
 |
(4.144) |
である。これを求めるためには、条件付き確率を求めなければならない。そして、
条件付き確率を求めるためには、2変数(
)のGauss
分布を考える必要がある。
一般に、
変数のGauss分布は次のように書ける:
![\begin{displaymath}
p({\bf V}^{N})d{\bf V}^{N}=\frac{\exp[-Q/2]}{\sqrt{(2\pi)^{N}\det({\bf M})}}d{\bf V}^{N},
\end{displaymath}](img382.png) |
(4.145) |
ここで
は covariance matrix であり、また
である。
の要素を sharp
-space filter の場合に具体的に考えると、
である。いまは filter の性質により、covariance が
の分散と同じ
になることに注意。逆行列は
 |
(4.151) |
となるので、
 |
(4.152) |
となる。これより、
 |
(4.153) |
となることがわかるが、
 |
(4.154) |
であることに注意すると、
 |
(4.155) |
であるから、条件付き確率は
 |
(4.156) |
となる。つまり、
が指定されている場合、そこからのズレは、
smoothing scale の違いがもたらす分散のズレを分散とする Gaussian になるこ
とがわかる。
これを用いると、
の時に、
となる
確率は、
 |
(4.157) |
となる。
これを元の積分方程式に入れると、
 |
(4.158) |
となる。
さて、これを
で微分してみよう。すると、
 |
(4.159) |
となる。ここで、変数を正規化してやると、
 |
(4.160) |
ここで
 |
(4.161) |
である。従って、
 |
(4.162) |
以上より、
 |
|
|
(4.163) |
となる。これをPress-Schechter質量関数と呼ぶが、
の場合のみ適用可能
であることに注意しなければならない。small mass scale では、
となる。
Next: より現実的な質量関数
Up: 密度揺らぎの統計的性質
Previous: 二体相関関数
NAGASHIMA Masahiro
2009-03-12