以下では最初から変数を正規化しておこう。
(4.164) |
(4.165) |
(4.166) |
ここで、sharp -space filter の時に、がどうして1/2になった かを改めて考えてみよう。Gaussian random field は、異なるのモード間で は位相が独立であった。ということは、あるまで積分して得られたある点で のに、新たに Fourier mode を足す、つまり filtering scale を小さ くすることは、独立な位相のモードを足すことになるため、が大きくな る確率と小さくなる確率が等しく1/2づつになることを意味する(どれくらい変化 するかはに依存する)。ということは、の値を時刻に見立て、 の値を位置に見立てると、は random walk することがわかる。
一方、一般の filter では、filtering scale を小さくすると、より長波長のモー ドの寄与も若干上昇することになる。つまり、filtering scale を変えることに 対して、それまでの履歴をひきずることになる。従って、の点では、 を上げるにつれて、よりを上昇させる方向に確率が大きくなる のに対し、の点では、より減らす方向に確率が大きくなり、random walk にはならない。そして、このことから であることが期待 される。
質量関数への影響を考えると、元の積分方程式に戻って考えてみれば、 であることから大質量ハローの数はPS質量関数に比べて減ることになる。小質量 ハローの数も一見減るような気がするが、左辺 [ ]の値は変わらないため、小質量ハローの数を 増やして辻褄を合わせる必要がある。よって、PS質量関数に比べ、大質量ハロー の数は減り、小質量ハローの数は増える、ということになる。