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Gauss分布

密度揺らぎ$\delta$は、$\delta\ll 1$の時代には通常 random Gaussian 揺らぎ であると仮定される。揺らぎの分散を $\sigma^2=\langle\delta^2\rangle$と置 くと、一点分布関数は
\begin{displaymath}
f(\delta){\rm d}\delta=\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\exp\left(-\frac{\delta^2}{2\sigma^2}\right){\rm d}\delta
\end{displaymath} (4.76)

となる。ここで$\sigma^{2}$は揺らぎの分散であり、 $\sigma^{2}\equiv\langle\delta^{2}\rangle$である。$\delta$のFourier変換は、
$\displaystyle \delta_{\bf k}\equiv\vert\delta_{\bf k}\vert{\bf e}^{i\phi_{\bf k}}=\int\delta({\bf x}){\bf e}^{i{\bf k\cdot x}}{\rm d}{\bf x}$     (4.77)

であり、$\phi_{\bf k}$$\bf k$成分の位相である。random Gaussian 揺らぎ は位相に相関がなく、
\begin{displaymath}
\langle\phi_{\bf k}\phi_{\bf k'}\rangle\propto\delta_{\bf k,k'}
\end{displaymath} (4.78)

である。amplitude の自乗平均は、power spectrum と呼ばれ、
\begin{displaymath}
P(k)\equiv\langle\vert\delta_{\bf k}^2\vert\rangle
\end{displaymath} (4.79)

で定義される。ここで $\langle\rangle$は ensemble平均を表し、また一様等方 性より $P({\bf k})=P(k)$とした。重要な関係として、二体相関関数 $\xi(r)\equiv\langle\delta({\bf x})\delta({\bf x+r})\rangle$
\begin{displaymath}
P(k)=\int\xi(r){\bf e}^{i\bf k\cdot x}{\rm d}{\bf x}
\end{displaymath} (4.80)

というFourier変換の関係にある。また、Gaussian random field の特徴として、 $P(k)$或いは$\xi(r)$によって、一意的に分布が定まる。

次に、power spectrum の時間進化を見よう。通常、inflation直後に生成される 揺らぎは$P(k)\propto k$と仮定され、Harrison-Zel'dovich spectrum と呼ばれ る。$t<t_{\rm eq}$では horizon より大きい揺らぎは$a^2$ に比例して成長し、 horizon 内の揺らぎは成長しない。一方、$t>t_{\rm eq}$の揺らぎは、どのスケー ルでも一様に成長する。従って、その様子を図に描くと、FIG.5 のようになる。なお、分散に直すと、 $\sigma^2\simeq\int P(k){\rm
d}^3k\simeq k^3P(k)$であるから、短波長側($k>k_{\rm eq}$)では $\sigma\sim\mbox{const.}$となる。ただし、実際には完全に成長が止まるわけ ではなく、$\log$的な成長があるため、完全に一定値になるわけではない。

図 5:
\begin{figure}
\epsfxsize =8cm
\epsfbox{power.eps}\end{figure}

詳細な計算では、power spectrum を initial (Harrison-Zel'dovich)とそこか らの変形(transfer function)に分けて、

\begin{displaymath}
T(k)=\frac{\ln(1+2.34q)}{2.34q}\left[
1+3.89q+(16.1q)^{2}+(5.46q)^{3}+(6.71q)^{4}\right]^{-1/4},
\end{displaymath} (4.81)

ここで
\begin{displaymath}
q=\frac{k}{\Omega_{0}h^{2}{\rm Mpc}^{-1}},
\end{displaymath} (4.82)

得られる power spectrum は
\begin{displaymath}
P(k,t_{f})\propto T^{2}(k)P(k,t_{i})
\end{displaymath} (4.83)

となる。ここで
\begin{displaymath}
P(k,t_{i})\propto k^{n}
\end{displaymath} (4.84)

であり、$n=1$なら Harrison-Zel'dovich spectrum である。


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NAGASHIMA Masahiro 平成17年2月22日