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天体の個数密度

ここでは球対称解と揺らぎの Gaussian 分布から、質量$M$の天体の個数密度 $n(M){\rm d}M$を見積る Press-Schechter 近似を紹介する[#!PS!#]。まづ、揺 らぎを質量$M$のスケール( $R\simeq[3M/4\pi\rho_0]^{1/3}$)で均す。均された 場で $\delta_M=\delta_c$となった点が、質量$M$の天体になると考える。
$\displaystyle \delta_M({\bf x})$ $\textstyle =$ $\displaystyle \int W_M({\bf x'-x})\delta({\bf x'}){\rm d}{\bf x'}$ (4.90)
  $\textstyle =$ $\displaystyle \int\tilde{W}(kR)\delta_{\bf k}{\bf e}^{-i\bf k\cdot x}\frac{{\rm d}{\bf k}}{(2\pi)^3}$ (4.91)

ここで$W_M$は均すための window関数であり、$\tilde{W}$はそのFourier成分 である。window関数の形としては、top-hat 型や Gaussian型がよく用いられる が、計算が簡単になるため Fourier空間での top-hat 型である sharp $k$-space filter もよく用いられる。スケール$M$での揺らぎの分散は、
\begin{displaymath}
\sigma^2(M)\equiv\langle\delta_M^2\rangle=\int\tilde{W}^2(kR)P(k){\rm d}^3k
\end{displaymath} (4.92)

となるが、window関数に入っている cut-off のスケールを $k_c\simeq 2\pi/R$ とすると、
\begin{displaymath}
\sigma^2(M)\simeq k_c^3P(k_c)\propto k_c^{3+n}\propto M^{-\frac{3+n}{3}}
\end{displaymath} (4.93)

となる。ここで、 $P(k)\propto k^n$とおいた。CDMモデルでは $n\mathrel{\mathchoice {\vcenter{\offinterlineskip\halign{\hfil
$\displaystyle ...となる。

図 10:
\begin{figure}
\epsfxsize =\hsize
\epsfbox{spect.eps}\end{figure}

さて、$M$の場でcollapse している領域は $\delta_M\geq\delta_c$であるので、 その割合は

\begin{displaymath}
F(M)=2\int_{\delta_c}^{\infty}f(\delta;\sigma_M){\rm d}\delta
\end{displaymath} (4.94)

と書ける。ここで factor 2 は、$\delta<0$の領域も含めて全領域を考慮するた めにつけられている。この領域が質量$M$以上の天体に含まれているので、
\begin{displaymath}
F(M)=\int_M^{\infty}\frac{M'n(M')}{\rho_0}{\rm d}M'
\end{displaymath} (4.95)

と関係づけられる。質量$M$の天体の個数密度は、$M$以上の天体になっている領 域から$M+{\rm d}M$以上の天体になっている領域を引いたものを、一つの$M$の天体が 占める領域$M/\rho_0$で割ったものに等しいから、
$\displaystyle n(M)=-\frac{\rho_0}{M}\frac{{\rm d} F(M)}{{\rm d} M}
=-\sqrt{\fra...
...frac{{\rm d}\ln\sigma_M}{{\rm d}\ln M}{\bf e}^{-\frac{\delta_c^2}{2\sigma^2_M}}$     (4.96)

となる。これをPress-Schechter質量関数と呼ぶが、$n>-3$の場合のみ適用可能 であることに注意しなければならない。small mass scale では、 $n\propto
M^{-2}\sigma^{-1}\propto M^{n-9}{6}\sim M^{-2}$となる。


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NAGASHIMA Masahiro 平成17年2月22日