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今までは dark matter の分布がどのように進化するかを調べてきた。そこでは
相互作用としては重力のみを考えればよく、その下で揺らぎや角運動量の性質を
考えれば良かった。しかし、銀河の形成過程には様々な物理過程が重要になる。
最低限考慮しなければならない物理過程として、
- ガスの冷却
collapse した dark halo 中のガスは、その virial 温度程度にまで加
熱されているが、その内部エネルギーを輻射によって散逸させ、halo 中
心部に沈殿することで高密度領域を作り、やがて星形成に至る。従って
いつごろどのようなサイズの halo が collapse すると、どれだけガス
が冷却できるかを調べることは重要である。
- 星形成
冷えたガスがどのようにして星になるかはよくわかっていない。以下で
は宇宙論的な構造形成を重視する立場から、とりあえず簡単に冷えたガ
スが適当な time-scale で星になると仮定する。
- 超新星爆発によるフィードバック(ガスの再加熱)
星ができれば短寿命の massive star は爆発し、一旦冷えたガスをまた
加熱する。これによってさらなる星形成を阻害する。どれくらいの量の
ガスを加熱するかは重力ポテンシャルに依存していると考えられるため、
dwarf 銀河程度のスケールでは強いフィードバックによって大量のガス
が掃き出され、dwarf 銀河を減らすと考えられる。
- 銀河同士の合体
dark halo は順次合体し成長していくが、halo 中の銀河は dark halo
が合体してもただちに合体するわけではない。dynamical friction の
time-scale で中心に落ち込み、やがて中心の銀河と合体する。さらに
一つの halo 中に銀河が多いと、ramdom に衝突する確率も増えることに
なる。
さらに観測と比較するためには種族合成の手法を用いて個々の銀河からどれくら
いの光度が放出されているかも計算する必要がある。
NAGASHIMA Masahiro
平成17年2月22日