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はじめに

観測的宇宙論とは、簡単に言えば、観測データを用いて宇宙の構造や進化を解明 しようとする分野である。従って、最も重要な課題の一つは、宇宙論パラメータ ( $H_0, \Omega_0, \Omega_\Lambda, k_0, q_0$)を決定することである、と言える。

近年、Hubble Space Telescope (HST)や Keck 望遠鏡、そしてすばる望遠鏡など により、非常に遠方の天体に関して大量の知見を得ることができるようになった。 また、COBE衛星による宇宙背景輻射(CMB)の揺らぎの直接検出や、Sloan Digital Sky Survey (SDSS)計画に代表される大規模銀河サーベイにより、宇宙における 物質分布の非一様性についても定量的な議論が可能な状況になってきた。

そのような状況を踏まえて、本稿では、種々の宇宙論パラメータ決定法を、 H0の測定、幾何学的テスト、力学的テストに分けて、それぞれのうち重要で あると考えられている方法について述べる。

これらのうち、力学的テストと呼ばれる方法は、宇宙における物質分布の非一様 性からパラメータを決めようとする方法であり、必然的に宇宙における構造の形 成過程と密接に関わってくる。そこで、密度揺らぎの成長についても簡単に述べ ることとする。

この分野に関しては、教科書が幾つか出ているのでそちらも参照されたい [1][2][3][4][5]。



NAGASHIMA Masahiro
2000-10-23