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まとめと展望

近年、多くの観測から得られた宇宙論パラメータの値が $h\simeq 0.7,
\Omega_0\simeq 0.3, \Omega_\Lambda\simeq 0.7$のflatな宇宙のあたりに収束 しつつある。現在進行中の計画として、CMB非等方(MAP, Planck)や銀河分布 (SDSS, 2dF など)を測るもの、Ia型超新星の距離-赤方偏移関係から宇宙論パラ メータを決めようとするものなどがあり、この数年のうちに宇宙論パラメータは かなり良い精度で決定されると考えてよいであろう。従って、今後の観測的宇宙 論の課題としては、決定方法の精度を上げる(今まで無視してきた高次の効果を 考慮する、データ解析の手法を改善する)ということが考えられる。しかし、む しろ構造や天体形成そのものへシフトして行くことが必要なのではないかという のが筆者の意見である。構造形成に関する問題としては、揺らぎの弱非線型〜強 非線型領域への進化や自己重力系の物理がある。また、天体形成としては、銀河 団形成や銀河形成問題があり、物理としては今後最も面白くなる分野であろう。




NAGASHIMA Masahiro
2000-10-23