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バックグラウンド

次に、摂動論を考えよう。まずはゼロ次を考える。速度については、固有速度 $\u $自体が摂動であることに注意する。
$\displaystyle \left\{
\begin{array}{l}
\rho = \rho_0 + \rho_1\\
\v = \v _H + \u\\
\Psi = \Psi_0 + \phi\\
p = p_0 + p_1
\end{array}\right.$     (3.63)

これらより、ゼロ次の方程式は
$\displaystyle \frac{\partial\rho_0}{\partial t}+3H\rho=0$     (3.64)
$\displaystyle {\mbox{\boldmath$x$}}\frac{\partial\dot{a}}{\partial t}=-\frac{1}{a}\nabla\Psi_0$     (3.65)
$\displaystyle \Delta\Psi_0 = 4\pi G\rho_0 a^2$     (3.66)

となる。

まず連続の式を見てみよう。これは以下のように容易に変形できる。

\begin{displaymath}
\frac{1}{a^3}\frac{\partial}{\partial t}(\rho_0 a^3)=0
\end{displaymath} (3.67)

$\rho_0\propto a^{-3}$であるから、これは質量保存の法則、あるいは断熱膨張を示している。

次に運動方程式であるが、両辺に$\nabla$を作用させると、

\begin{displaymath}
3\ddot{a}=-\frac{1}{a}\Delta\Psi_0=-4\pi G\rho_0 a
\end{displaymath} (3.68)

となり、結局
\begin{displaymath}
\ddot{a}=-\frac{4\pi G\rho_0 a}{3}
\end{displaymath} (3.69)

となり、Friedmann方程式に一致する。



NAGASHIMA Masahiro
2009-03-12