次に、密度がほぼ一様の宇宙初期の状態を考え、一次の摂動を調べる。速度場
は既に微小量であることに注意し、また密度コントラストとして
を定義すると、の場合、
次に、摂動が平面波
として分散
関係を導く(はcomoving)。揺らぎが不安定、即ち成長するための条件は
である。代入すると、この条件は
(3.74) |
(3.75) |
ここで、 が時間と共にどのように変化するかを見る。 radiation dominant では、 なので ( )、 となり、horizon 半径とほぼ等しくなる(は comoving での horizon 半径)。つまり、horizon より小さなスケールの揺らぎは成長でき ない。
equal time から recombination までの間( )は、CDM は定 義によりであるので、 となり、ほぼ全てのス ケールで成長できる。しかし、baryon に関しては、エネルギーは非相対論的物 質が支配しても、圧力は輻射が支配しているため、 となり、 となる。
最後に、recombination 以降( )を考える。baryon が感じる圧力は baryon 自身が生み出すので、 となり、音速は 、Jeans波長は となる。
実際には、diffusion damping などの効果で、baryon の小スケールの揺
らぎは慣らされるが、ここでは割愛する。
次に、equal time 以降の揺らぎが時間と共にどのように成長するかを調べる。
時間発展の式(3.45)に於いてと置いたものが基本方程
式となる。簡単のためにE-dS宇宙(
)を考えると、
であるから
(3.76) |
(3.77) |
(3.78) |
なお、一般に decaying mode は
となる。従って、
Wronskian を用いて growing mode も求めることができる
(
の場合は解析解がある)。
次に速度揺らぎについて調べる。連続の式(3.42)とPoisson方
程式(3.44)、及び線型段階での密度揺らぎが
と書けることから、
(3.79) |
(3.80) |
(3.81) |
最後に、線型段階での重力ポテンシャルの進化について触れておく。Einstein-de Sitter宇宙
では、
より、
(3.83) |