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ハローバイアス

詳細な導出は他[9]に譲り、ここでは定性的な意味のみを述べる。

既に示したように、天体となるような構造は、初期に高密度であった領域のみに 形成される。特に high-$z$ ではかなり稀な高密度領域のみで天体が形成される ため、天体の分布は dark matter の分布とはかなり異なると予想される。

高密度揺らぎのピークに銀河ができると考えよう。high-$z$では大質量天体は $\nu(=\delta/\sigma)$が大きい領域に形成される。このような領域は非常に稀 であり、長波長の揺らぎのモードによるかさ上げのある領域で形成されやすい。 従って、この時期での$\delta_{c}$を越える領域のみを切り出すと、強くクラス タリングしていることが予想される。そのため dark matter の分布に対するハ ロー分布のバイアスが非常に大きく出ることになる。low-$z$に行くに従い、低 密度領域でも天体が形成され出すので、バイアスは小さくなる。

観測される銀河の性質を考えると、large $\nu$ の領域は早く collapse するこ とから古い楕円銀河が多く、あとから collapse する領域では青い spiral が多 いと考えられる。従って、色や形態による選別を行い相関関数を調べると、ここ でもバイアスがあることがわかる。

先の図での$r_{0}-z$関係は、基本的にはこのようにして理解される。

具体的には、overdense な領域のスケールで smoothing した際に、そこでの $\delta_2>0$の値を設定し、その条件のもとで、質量関数を導けばよいことにな る。この場合は、 $\delta_2<\delta_c$であることに注意。



NAGASHIMA Masahiro
2009-03-12