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物質、曲率、宇宙項が支配する時期

式(2.3)あるいは(2.12)の右辺の三つの項 のそれぞれが支配的になる時期を調べる(以下 $rho=\epsilon/c^{2}$の質量密度 で見る)。各項の scale factor に対する依存性は、順に $a^{-3}, a^{-2},
a^{0}$である( $\rho\propto a^{-3}$ に注意)。従って、宇宙初期には曲率や宇 宙項は物質密度に比べて微小であり、宇宙膨張の振舞いは $K=0, \Lambda=0$の Einstein-de Sitter 宇宙とほぼ同じになる。この時、式 (2.3)より、
\begin{displaymath}
a(t)\propto t^{2/3}
\end{displaymath} (2.17)

となる。

やがて、曲率項が(あれば)効きだしてくる。この時期は、

\begin{displaymath}
\frac{\Omega_{0}}{a^{3}}\simeq \frac{\vert k_{0}\vert}{a^{2}}
\end{displaymath} (2.18)

となる$a(t)$であるから、結局
\begin{displaymath}
a\simeq\frac{\Omega_{0}}{k_{0}}
\end{displaymath} (2.19)

であり、もし宇宙項が0( $\Omega_{\Lambda}=0$)とすると、 $k_{0}=\Omega_{0}-1$であるから
\begin{displaymath}
a\simeq\frac{\Omega_{0}}{\vert\Omega_{0}-1\vert}
\end{displaymath} (2.20)

となる。この場合、式(2.3)より
\begin{displaymath}
a(t)\propto t
\end{displaymath} (2.21)

となる。

もし宇宙項が存在し、宇宙が平坦($k_{0}=0$)であると、比較すべきは

\begin{displaymath}
\frac{\Omega_{0}}{a^{3}}\simeq \Omega_{\Lambda}
\end{displaymath} (2.22)

となるので、宇宙項が支配的になるのは
\begin{displaymath}
a\simeq\left(\frac{\Omega_{0}}{1-\Omega_{0}}\right)^{1/3}
\end{displaymath} (2.23)

となる。この場合は、
\begin{displaymath}
a(t)\propto \exp(\sqrt{H_{0}^{2}\Omega_{\Lambda}}t)
\end{displaymath} (2.24)

と inflation 的膨張を起す。



NAGASHIMA Masahiro 平成17年2月22日